氷河と抹茶

2009年08月24日 01:57

月の月1日 (G8/23) KIN32  黄色い律動の人 (by L)

昨日ポストに投げ込まれていたフリーペーパー(ウェンディ)。いつもは読む事も無いけれど、ある記事が目に留まった。地球交響曲(ガイアシンフォニー)龍村仁監督の短いエッセイ。(私はこの映画の第一番(1992年)からリアルタイムでずっと見続けている。)

監督は、海外ロケには必ず旅用の抹茶セットを持参し、朝起き抜けにまず一服点てるのだという。そしてそれが彼の映画作りを支えて来たそうだが、興味深い内容なので紹介したい。

地球交響曲第三番(1996年)のアラスカロケでのことだ。撮影開始直前に大変ショッキングな事件が起こる。ご存知の方も多いと思うが、その映画に出演するはずだった星野道夫氏(監督の親友でもある)が、突然ヒグマに襲われ他界。親友を失い、そして出演者のないままアラスカロケの旅の続行を余儀なくされる監督は、ショックと不安で眠れない夜が続く。

~以下記事を引用~「そんなある朝、私は彼が生前、こよなく愛した氷河の氷を砕いて湯を沸かし抹茶を点てた。美しく緑色に泡立った抹茶を一口含んだ瞬間、なにか言葉にはできない激しい奔流のようなものが私の全身を貫いて走り、私は思わず『うまい!』と叫んでしまった。そして、私の中に、抹茶をうまいと感じるような回路がまだ遺っていた事に驚いた。不安と苦しみのために閉じていた神経回路の扉が次々と開いてゆくような気がした。抹茶を一気に飲み干して外に出た。
あたり一面が白く発光する白夜の朝、気温マイナス30度、氷原を吹き抜けてくる風は肌を刺すように痛かった。しかし私はその冷たい風の中に春の気配を感じたのだ。」~引用ここまで~

海外で抹茶を点てる時は、必ずその土地の人が飲んでいる水、その出演者が飲んでいる水で点てると決めているそうだ。土地の「氣」と、自分の「氣」の共鳴した時、おいしい抹茶が点つから。

水は、情報や記憶を運ぶ。運び込んで影響を与え、そして状況を変化させる。氷河の氷の抹茶を飲んだ時、星野氏や氷河のエネルギーが、監督の中に流れ込んで一つとなり、その水の保持する情報が、監督をその時の不安と苦しみから解き放ったのではなかったか。

Dの取り組んでいる「ウォーターセラピー」とは、おそらくそういうこと。必要な情報を水が伝える。伝えるけれど、水は何もしない。それなのに必要な変化が全体的に起こってゆくのは、私たちの存在の特性(身体の約70%は水分)による。本当に大切な働きをするものは、常にシンプルで包括的で、そして微かなのだと思う。

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