「ヒマラヤを越える子供たち」の背景

2012年08月20日 22:36

磁気の月26日 (G8/20) KIN84 黄色い律動の種(by D)

かつて自主上映会などを通じて私達も関わったドキュメンタリー映画『ヒマラヤを越える子供達』は、そのタイトルの通り、実際に6000m級のヒマラヤ山脈を越えて、中国(に不当に占領されたチベット本土)から命がけで亡命するチベットの子供達の様子を描いた作品だった。

中国政府に奇妙な配慮を見せる日本政府や、一見、自由なようでいて実は様々なレベルで報道規制されている大手マスコミの見えざる統制によって、多くの日本人は、チベットで実際に何が起きているのかについて、割と最近まで殆ど知る機会が無かった。従って、この映画を通じて初めてチベットの実情を知ったという方も多かったと思う。

その後、DVD化され販売もされていたのだが、残念ながら版権契約等の関係で数年前には絶版になってしまっていた。しかし、監督のマリア・ブルーメンクローンさんは、映画では殆ど触れられていない、子供達の生い立ちや背景について詳述した著書もドイツで出版されていた。それが、今年6月末に出版された『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館)だ。

ドイツ在住の掘込-ゲッテ由子さんによる翻訳は読み易く、ごく自然に著者のマリアさんや子供達が体験した世界に入り込ませてくれる。実は今日、プロモーション活動を兼ねて帰国されている堀込さんと、映画『ヒマラヤを越える子供達』に関わったメンバーが顔を合わせる機会があった。残念ながら、KIKUの久保さんをはじめ、諸事情で都合が付かなかった人もいたが、今回の邦訳出版の経緯や映画上映の背景などをシェアしながら、楽しいひと時を過ごす事が出来た。
escape over ☆翻訳者の堀込さんと共に

映画と本のタイトルは同じだが、上記の通り、映画では、子供達が何故、ヒマラヤの難所を命がけで越えるのか、あるいは親達が子供にそのような危険を冒させてまで亡命させようとするのかについては描かれていない。今回、出版された本には、その辺りのことが詳しく描写されているだけでなく、無事亡命を果たした子供達のその後についても書かれているので、映画を観た方は、色々な疑問が解けるだけでなく、より大きな流れの中で、ひとつひとつの場面を見返す事が出来ると思う。

もちろん、本書は、チベットの現状について殆ど知らないという方が、初めて手にする本としても強くお薦めできる。なぜなら、ごく普通のチベット人の親や子供、そして政治的なしがらみのない国の女性(著者)からの視点で描かれているからだ。マスコミが断片的に伝えるニュースでは、敬虔な仏教徒であるチベット人が、何故、焼身抗議という過激な手段を取るのか(もう50名以上だ!)、理解できない方も多いと思う。しかし、本書にはそういう気持ちになる背景が、様々な角度から自然に語られている。

そういう意味では、現在、全国各地で上映中の映画『オロ』ともリンクするところがある。実際、本書に登場する子供達とオロの境遇はよく似ている。どちらも親に送り出されてヒマラヤを越え、インド・ダラムサラにあるチベット子供村に学んでいる(本書の子供達は既に卒業しているが)。

奇しくも、『ヒマラヤを越える子供達』の発刊日は、『オロ』の公開初日と重なる6/30(KIN33)で、私達はその日、渋谷のユーロスペースで岩佐監督にお会いしている。本の方は、その翌日のKIN34に手元に届いたから、ちょうど今日から50日前ということになる。また、このブログで最初に本書を紹介したのは、ダライ・ラマ法王の77回目のお誕生日(7/6=KIN39)だった。

昨日、「マヤ暦の終わりと始まり」という講演会で司会をして下さったのはKIN33のスタッフの方だったし、ちょうど1年前の今頃ウォーターセラピーにいらしたドイツ在住の日本人の方は、確か堀込さんと同じ街から来られたはずだ。思い返せば、グラーツでのカーラチャクラで、私達の目の前に座ってい3人組のドイツ人女性も、同じ街の出身だった。このシンクロが意味することも、時が来れば、きっと明らかになるのだろう。書籍の『ヒマラヤを越える子供たち』を通じて、映画の背景を知ったように。

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