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コペルニクス生誕地の「星の下の家」

2017年11月30日 01:44

■倍音の月15日 (G11/29) KIN190 白い銀河の犬 (by D)

ポーランドの首都ワルシャワの北西に、コペルニクスの生誕地として知られる街トルンがある。中世の面影を色濃く残すこの街の旧市街は、1997年に世界遺産に登録され、名物の焼き菓子ピエルニク(ジンジャーブレッド)はショパンの大好物だったとも言われている。10月下旬に縁あってこの街を訪れる機会があったので、印象が鮮明なうちにその時の事をまとめておきたいと思う。

実は、割と最近まで、私はトルンという街を知らなかった。コペルニクスが生まれた街というのも、昨年、天真書法塾を通じて「トルン東洋美術館展」という書展に出品した関係で初めて知ったくらいである。出品作品が美術館収蔵品に選定された事で(その経緯については過去記事参照)一気に親近感が湧いたが、ポーランドについての知識が殆ど無く、他に強い動機も無かった私達は、「いずれ訪れてみたい」と思いつつも具体的な事は何も考えていなかった。

そもそも、今年は既にイタリア、NY、ネパールと海外への予定が立て込んでいたので、そんな計画を考える余裕も無かった。しかし、当初は10月下旬とされていたNY国連本部での「12賢者会議」が11月下旬にズレ込み、続いて行われる予定だったシンポジウムが来年に持ち越しとなった事で、賢者の一人に選ばれた青木先生に同行させて頂くという話も流れ、10月下旬にぽっかりと時間が出来た。

それが判明した時点で既に9月に入っていたのだが、Lが「来年は来年で既に色々と予定があって、まとまった時間が取れるチャンスは無いかもしれない」と言うので、いくつかの候補を検討し、最終的にはシンクロサインからポーランド行きを決めたのだった。幸い、書展コーディネーターである国際書道文化発展協議会の岡田伸吉氏のご縁で、博物館担当者の方とも連絡が取れたので、訪問の日時を伝え、現地で作品を見せてもらえる流れとなった。

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軸装前の状態で出品してそのまま収蔵となった上、正面から撮られた写真も無かったので、どんな感じに仕上がっているのかを間近で見られるのは楽しみでもあった。G10/25(KIN155)、ワルシャワから鉄道でおよそ2時間半、トルン駅からバスで15分ほどでトルン旧市街に到着。流石に世界遺産だけあって雰囲気のある街並みだが、半日あれば大体見て回れてしまうくらいの規模。

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コペルニクス像のある旧市庁舎の角を曲がると、「House under the Star(星の下の家)」という名を持つ東洋美術館が見えて来る。通常は入館料が必要なのだが、この日は街の博物館が無料で見られる日(毎週水曜)に当たっていて無料で入場。知らずに来た私達は、それだけで勝手に歓迎されている気分になる(笑)。

受付で事情を伝えると、しばらくして担当者の女性が現れた。挨拶を交わし、歴史を感じさせる木の螺旋階段を昇って上階にたどり着くと、何と、一室に自分の作品を含む天真書法塾生の収蔵作品がまとめて展示されているではないか!

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常設展示されている訳ではない事は了解していたので、収蔵庫から出してテーブルの上にでも開いて見せてもらえたら有難い思っていた。だから、こんな風に綺麗に並べてもらっているとは想像してもいなかったのだ。しかも、塾生の作品については、日時の確認などをする中で「もし可能であれば書法塾の仲間の収蔵作品も見せて下さい」とだけ伝えてあり、特に返事も無かったので、見せてもらえるのかどうかも分からないままだったのだ。

聞けば、案内して下さったKatarzynaさんは、この東洋美術館の責任者(Curator Far East Art Collection)で、何と、収蔵作品を選んだ張本人である事が判明。誰がどう選んでくれたのかも全く知らなかったので、こちらはもう感激しきりである。しかも、私が使用した石州和紙の薄く青みがかかったテイストも気に入って下さったようで、それを聞いただけでポーランドに来た甲斐があったと思えてしまった。

IMG_5959.jpg「From words of the ancient Japanese name and Pascal」

たまたま展示の関係で一室空いていたので、そこに準備して下さったとの事だったが、Katarzynaさんもはるばる日本から自分が選んだ作品の作者が訪ねて来た事を喜んで下さっていたようで、その後も、館内を色々と解説しながら案内して下さったのだった。もともと、700年近い歴史を刻んできたこの建物自体が博物館のようなもので、扉や天井の寄木細工なども見所の一つと言える。

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刀や鐔、伊万里などの陶磁器のほか、インド、チベット、タイの仏像などもコレクションされていて興味深かったが、冷たい小雨が降っていたからか、お昼の時間帯だったからか、来館者は限られていて、おかげでかなりゆったりと鑑賞させて頂けた。思いがけず、名物のピエルニクと世界遺産としての街の見所をまとめた豪華な本まで頂いてしまって(こちらもちょっとしたお土産は持って行ったが)、何だか申し訳ない気分で「星の下の家」を後にした。

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これも時間をかけて交流を続けて来られた岡田氏の活動があっての事と思うが、私としても、せめてこの街の素晴らしさを伝える事で、博物館や街に対して何がしかの貢献ができればと思っている。その後、旧市庁舎内にある博物館やコペルニクスの生家なども訪ねたが、その辺りの事については、2018.1.8に開催予定のスペシャルイベンド「スープ王国ポーランドの秘密(仮題)」やメルマガなどで改めて報告したいと思う。

最後に一つ、帰国後の驚きをシェアしたい。コペルニクスを世界的に有名にした本『完訳 天球回転論 コペルニクス天文学集成』が、私たちがトルンを訪れるぴったり1週間前の10/18(黄色い倍音の星)に発刊されていた事を、FBの友人の投稿を通じて知った。しかも、そのカバー絵には、旧市庁舎内で何気なく撮影した写真に写っていた図と全く同じ図が使われていたのだ。

コペルニク 

書作品を通じてそれまで無縁だった土地(コペルニクス生誕地)との繋がりが出来、それをきっかけに、今、訪れることになったのと完全にシンクロして、コペルニクスを世に知らしめた本の完全邦訳が出版されるという驚き。毎度のことながら、誰がこの出来過ぎた物語の脚本を書いているのかと思う。本当はずっと前からそれが誰かを私は知っているのだが、今は「その物語はこの文を目にする方とも関係している」とだけ記しておくことにしよう。

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